Kobayashi Law Office


                         

★ コラム

2019.10.02
~12年を振り返る~

 2007年9月に弁護士として登録し、本年9月で丸12年となり、弁護士生活13年目に入ります。そして、私自身、本年9月で40歳となり、そういった意味でも節目の月となりました。これを機に、これまで12年間の弁護士生活を振り返ってみようと思います。
 最初の4年間(1~4年目)は、仕事のことを第一に考えて過ごした気がします。私は、入所した事務所に恵まれました。入所した事務所は、新人弁護士へはいろいろな種類の事件を振って経験を積んでもらう、という方針があり、私にとっては任された仕事が全て新鮮でした。ときには、必要以上に時間をかけて事件処理が遅くなったこともありましたが、私なりに一生懸命取り組みました。私は、元来飽き性で、一つのことをコツコツ続けることがあまり得意ではなく、大学受験時代でも、司法試験受験時代でも、根を詰め過ぎると体調を崩してしまうような人間でしたが、弁護士の仕事であれば時間を忘れて取り組むことができると実感しました。
 次の4年間(5~8年目)は、悩みが多くなった4年間でした。入所した事務所で任される仕事は質、量ともに増えていき、自分自身も弁護士としての成長を感じていました。一方、この頃、先輩や知人の勧めもあり、同業者の集まりだけでなく、異業種の方と交流する機会を多く持つようになりました。それまでは、弁護士として事務所から与えられた仕事に没頭することで時間が過ぎていましたが、異業種の方と交流し、世間の様々な常識に接する機会を通じて、自分は1人の社会人として世の中の役に立っているのだろうか、社会のために自分ができることはもっとあるのではないだろうか、などと思うようになりました。結果として、当時の事務所の先生方にわがままを言い、ご了解を得て独立させていただき、弊所を開設するに至りました。
 その次の4年間(9~12年目)は、新たなチャレンジとなった4年間でした。独立したことで、仕事は全て私という個人の弁護士に対してご依頼いただく仕事になりました。そのため、これまで以上に責任感を持ち、そして解決に向けた自分なりのビジョンを持って、一つ一つの仕事に正面から取り組むようになったと実感しています。また、小さいながらも一つの事業所の長として、社会における様々な義務や責任を一つずつ勉強しています。まだまだ足りないことも多いですが、漠然とではあるものの、私だからこそできることも増えてきたと実感しています。
 その上で、これからの4年間は、ご依頼いただける仕事を通じて、私という弁護士だからこそできることは何かを追求し続けたいと思います。また、そのような私に共感を持ってくれる方が見つかれば、事務所を大きくしていくきっかけにもしたいと思います。
 これからもよろしくお願い申し上げます。
2018.10.03
~2020年4月1日から改正民法(財産法)が適用されます~

 民法は、所有権、契約、損害賠償、時効といった財産面に関するルールを決めている法律で、日常の買い物から突発的な交通事故、会社同士の取引に至るまで、私人間で権利や義務を発生させることになるほとんどの行為の基本的なルールを定めるものです。法律の世界では、憲法、刑法と並び基本三法と称され、法学を学ぶ者にとっては最初に勉強する法律です。弁護士業務において最も使用頻度の高い法律といえます。
 そのような民法(財産編)が最近改正され、2020年4月1日より適用されることになりました。民法は、もともと国をあげて近代化を目指していた明治時代に作られた法律で(1896年制定)、現代まで約120年間、大きな改正もなく維持されてきた法律でした。しかし、現代の取引慣習とかけ離れている部分や現代の価値観と合わない部分が目立つようになり、今回の改正と至りました。
 例えば、保証人を付けることのできる条件について、保証人保護の要請から大きくルールが変わります。現行民法では、自分の持っている建物を賃借人に貸し、賃借人の親族を保証人にしている場面において、賃借人が賃料を払わなければ、保証人に対して損害の全額を請求することが可能でした。しかし、これを無制限に認めると、保証人が予想を超える多額の支払いを強いられてしまう、という問題が指摘されていました。そこで、改正民法では、このような場合、「~円を限度で責任を負う」という定め(根保証といいます)がなければ保証としての効力を生じないこととされました(改正民法465条の2)。また、事業のために負担した借入金についての個人保証は、一定の例外を除き、公正証書によらなければ効力を生じないことになりました(改正民法465条の6以下)。したがいまして、例えば、みなさまの中に保証人付賃貸借契約を結んでいる取引先があれば、2020年4月を境に、賃貸借契約書の文言の見直しをする必要性があるケースが予想されますし、また、個人保証を付けて事業資金を借りようとする場合は、その保証人に公正証書を作成してもらわなければなりません。
 以上はあくまで一例です。なお、新聞でもよく見かける成年の年齢が18歳に引き下げられる民法改正ですが、こちらは、財産法とは異なり、2022年4月1日より改正法が施行されます。
 今回の民法改正は、何度かに分けて、多岐にわたる分野についてなされますので、本誌だけで改正内容の全てを紹介することは困難ですが、今後もいろいろな形でみなさまにご紹介させていただきたいと思います。
2018.05.02
~「23条照会」をご存じでしょうか~

 弁護士に事件を依頼した方なら聞いたことがあるかもしれませんが、弁護士には、通称「23条照会」と呼ばれる証拠収集手段があります。正確には、弁護士法23条の2に基づき、弁護士が受任している事件について、所属弁護会(私なら大阪弁護士会)を通じて、公務所又は公私の団体に事実照会をすることのできる制度です。
 私は、10年近く大阪弁護士会の23条照会に関わる委員会に在籍しており、年間を通じて、各弁護士から大阪弁護士会へ上がってきた23条照会内容の当否を検討するような活動をしています。
 23条照会では、交通事故案件で、警察や検察庁に対して事故内容を記載した実況見分調書等の内容を照会する、相続案件で、金融機関に対して相続開始前の取引履歴を照会する(相続人間の公平を害するような支出がないかどうかチェックするためです。)といった使い方が多いですが、特に23条照会が威力を発揮するのは、債権回収の場面です。
 紛争の相手方が支払わないまま裁判となり、勝訴判決を取ったとしても、相手方が払ってくれなければ判決文はただの紙切れです。強制執行により回収する必要があります。ただ、一口に強制執行といっても、相手方の財産が不明であれば手続きはできません。
 このような場合、23条照会を使うと、一部の金融機関に限られますが、全支店の預金の有無と金額を回答してくれるケースがあります。一度の照会で全支店の預金を照会できるという点で経済的ですし(照会するには1件数千円かかります。)、調査の時間も大きく短縮できます。そして、預金が発見されると、預金の強制執行(差押え)は比較的容易ですので、債権の回収可能性が飛躍的に高まります。
 法治国家の日本において、正当な民事裁判手続きを経て権利を実現しようとする人(判決で勝った人)の利益と、判決まで出されたのに支払わない人(相手方)の個人情報・プライバシーという利益を比較し、前者が優先される結果といえるでしょう。
 23条照会は弁護士でなければ利用できない制度ですので、債権回収可能性等、事実調査に関してお困りの方がおられれば、是非ご相談下さい。23条照会を利用することで解決する紛争があるかもしれません。